恋愛感情を持てないアセクシャルとは?

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アセクシャルとは

アセクシャルとは、日本語で「無性愛」と訳します。 これは、「他人に対して恋愛感情や性的欲求を抱かない」人のことをいいます。 また、アセクシャルは、異性愛、同性愛、両性愛に並ぶ、人が持つ第4の性質であるともいわれています。 まだ一般には広く知られていませんが、アセクシャルと呼ばれる人たちがいることは、少しずつ知られるようになってきました。

誤認されやすいもの

アセクシャルと誤認されやすいものに、無性欲があります。 これは、性欲自体がない人のことなので、 無性愛(アセクシャル)とは全然違います。 また、性的行為を嫌悪する性嫌悪や、性的欲求低下障害(HSDD)などという、表面上は似通った性質もありますが、いずれもアセクシャルとは違っています。 アセクシャルなどというものは、自分とは何の関係ないと、ほとんどの人が思っているかもしれません。 しかし、そうではないのです。 実は、アセクシャルは人口の約1%ほどいるといわれています。 つまり、意外と身近なところに、アセクシャルの人がいるかもしれないのです。

アセクシャルとはこんな人

アセクシャルの人は、他人に恋愛感情を持ったことがありません。 それがどういうことかといいますと、いわゆる「初恋」の経験がないのです。 それだけではありません。 一目惚れも、アセクシャルの人は一度も経験したことがありません。 つまり、これまで生きてきて、一度も好きな人ができたことがないのです。 しかし、アセクシャルの人には家族愛や友人愛はちゃんとあります。 家族を大事にする気持ちや、友人を大切に思う気持ちは普通の人と同じようにあるわけです。 つまり、アセクシャルは人に対する愛情が全然ないわけではなく、なぜか恋愛感情だけが欠如しているのです。 また、アセクシャルにも「この人はいい人」と思う感情はあります。 しかし、 「この人が好き」とは絶対に思わないのです。 つまり、LIKEはあるけどLOVEがないのが、アセクシャルということになります。

アセクシャルには2つのタイプがある

アセクシャルの中には、 性行為を嫌悪する人とそうでない人がいます。 性行為を嫌悪するアセクシャルは、エロゲーもやりませんし、ネットでアダルト動画を見るのも嫌いです。 当然ながら、セックスシーンのある恋愛映画も見ませんし、性行為を描いた恋愛小説も読みません。 しかし、性行為を嫌悪しないアセクシャルは、このような映画も小説も嫌悪することはありません。 ただし、嫌悪しないけれども、内容に共感することはできないのです。 これは、理解できないのとは違います。 理解できても、そのことが実感としてわからないのです。 これと同様に、他人の恋愛話を聞いても共感できないし、恋愛相談に乗ることもできません。 アセクシャルの人は、そのことを他人に気づかれないようにしているため、周囲の人もわからないことがほとんどです。 そのため、アセクシャルはただ単に 「恋愛にオクテな人」と勘違いされていることが多いようです。

アセクシャルはこんな幼少期を送る

アセクシャルの人も、初恋や一目惚れという言葉は知っています。 しかし、実際にそれを体験することはありません。 そこで、アセクシャルの人は「好きな人は自然にできるもの」と思って幼少期を過ごしてしまうのです。 普通の人にとって、初恋や一目惚れの相手は自分の前に「現れる」ものですが、アセクシャルの人にはそれがありません。 なにしろ、他人に対して恋愛感情がないのですから、いくら待っても好きな人が「現れる」わけがないのです。

恋愛やセックスに向けて行動を起こすことはない

中学生くらいになって、クラスメートたちが初恋について語ったり、「あの人が好き」などという話をしても、自分にはそういう経験がありません。 アセクシャルはそのことを、「自分はまだそういう人に会っていないだけ」と考え、人よりちょっと遅いだけで、自分もいずれそういう経験をする日が来ると思っています。 しかし、その日はやってこないのです。 恋愛やセックスについては、小学生頃から知識が入ってきます。 これは誰でもそうです。 しかし、アセクシャルは知識が入ってくるだけで、実際に恋愛やセックスに向けて行動を起こすことはないのです。

アセクシャルは大人になって気づく?

アセクシャルは、恋愛やセックスという言葉は知っていても、「恋愛したい」、「セックスしたい」と思うこともなく大人になります。 そして、異性に対しても同性に対しても、「この人が好き。この人と付き合いたい」という感情を持ったことがないことに、やっと気づきます普通の人は異性に対して好きという感情を持ちます。 まれに、同性に対して好きという感情を持つ人もいます。 異性を好きでも同性を好きでも、普通の人はみんな誰かのことを「好き」になったことがあるのです。 しかし、アセクシャルにはそれがありません。 そのことに、ようやく気づき始めるのです。 そうなると、恋愛なんて映画やドラマの中だけのことと思っていたのは自分だけで、周囲の友人たちは現実に恋愛していたということにも、気づくようになります。 このとき、自分は普通の人と違うことを初めて知るわけです。 アセクシャルは、「初恋はいつ?」という質問が苦手です。 なぜなら、答えられませんから。 また、 「どういうタイプが好き?」と聞かれても困ります。 好きなタイプなんてないからです。 「モテたい」という気持ちもアセクシャルにはわからないようです。 モテてどうしたいの、と思ってしまうからです。 普通の人がモテたいと思うのは、その人に恋愛感情があるからなのです。

アセクシャル理解するために

私たちの周りには、少なからずアセクシャルの人がいることはわかりました。 しかし、世の中にはアセクシャルと似ているけど違う人もいます。 たとえば、 独身主義とアセクシャルは違います。 アセクシャルは結婚することはほとんどありませんが、これは表面上は独身主義と区別がつきません。 しかし、独身主義とアセクシャルはまったく違います。 独身主義の人には恋愛感情はありますが、あえて結婚しないだけなのです。

アセクシャルには性欲がない?

それに対して、 アセクシャルは恋愛感情がないから、結婚に結びつかないのです。 また、アセクシャルは同性愛とも混同されがちです。 同性愛者は自分が同性愛であることを隠そうとして、好きな同性への性欲を抑え込もうとする傾向があります。 しかし、アセクシャルは性欲を抑えているわけではありません。 もともと、誰に対しても性欲を持ったことがないのです。 また、アセクシャルは幼少期に性的虐待を受けたわけではないのですが、往々にしてそういう被害に遭った人と誤認されることがあります。 性的虐待を受けた過去があるから、恋愛やセックスを嫌悪するのだと勘違いされるのです。 しかし、アセクシャルは生まれついての性質ですから、幼少期の体験とはまったく関係がありません。 アセクシャルの人は同情されることを嫌います。 アセクシャルの人は、別に自分は不幸だとは思っていないのです。 恋愛したいのにできなければ不幸ですが、恋愛したいと思わないのですから、少しも不幸ではないのです。